彦根犬猫病院 Hikone Animal Hospital

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2020年10月3日

コラム 「健康診断で何がわかるの?」

病気の早期発見のために健康診断はとても大切ですが、具体的にどのような検査をして調べるのかをこのコラムでお伝えできればと思います。

 

●健康診断の「身体検査」でわかることは?

健康診断では体重/体温測定・視診・聴診・触診(身体検査)をおこないます。これらは、日々の診察でもおこなっていることです。

視診・・・皮膚や目、耳、口の状態など、目で見て異常がないか確認します。皮膚病や、白内障などの眼科疾患の有無、歯石のつき具合などをチェックします。

触診・・・リンパ節のはれや、しこりの有無、関節に異常がないか、太りすぎや痩せすぎがないかを確認します。

聴診・・・胸の音を聞いて心音、呼吸音、心拍数に異常がないか、お腹の音を聞いて腸の動きに異常がないかなどを確認します。

 

●健康診断の「血液検査」でみつかる病気は?

実際に健康診断をしていてみつかることが多い病気を具体的にあげて、おはなしをしたいと思います。

 

・腎臓の病気

腎臓の病気でいちばん多いのは、慢性腎臓病です。

慢性腎臓病は、病気が進行してからでないと、なかなか気づいてあげることができません。初期には症状がなく、徐々にお水をのむ量が増える、おしっこの量がふえる、といった症状がみられ、病気が進行すると元気や食欲がなくなります。その時には、すでに腎臓の機能の多くが失われています。

健康診断に含まれるSDMAという項目は、腎臓病を早い段階でみつけてくれる検査項目です。(正常な値より高かった患者さんは、尿検査や画像検査と合わせて総合的に診断します。)腎臓に異常が見つかった場合、腎臓に負担をかけない食事を選んだり、腎臓病の進行を遅らせるお薬をあげたりします。また、血圧が高い子は血圧を下げるお薬を検討します。早期に腎臓病をみつけることで、より適切な時期に治療をはじめることができます。

 

・肝臓や胆のうの病気

肝臓や胆のうに関係する数値が高いときには、超音波検査などで肝臓や胆のうの状態を確認します。その結果、胆泥症、胆のう粘液嚢腫、肝炎や肝臓がんなどがみつかることがあります。胆泥症は胆のうの中の胆汁という消化液がどろどろとしてくる状態で、進行すると胆のう粘液嚢腫という、胆汁が固くなる状態へ変化します。放置すると胆のうから腸につながる胆管という管がつまったり、重症な子では胆のうが破裂することもあります。

早期に病気をみつけることで、胆泥がたまりにくい食事やお薬の治療をはじめることができます。

 

・低たんぱく血症になる病気

消化管の異常や腎臓の異常で、からだの中の蛋白量が正常より少ない患者さんがいます。下痢などの症状が出ている子もいれば、まったくの無症状で、健康診断の血液検査でみつかることもあります。そのまま放置すると、体に必要な蛋白が足りていないことで、血液の状態が変化し、血栓ができるたり、お腹に水がたまることがあります。

その他にも、

血球検査では

・貧血

・血小板減少症

・感染や炎症の有無

血液化学検査では(上述した病気にくわえ)

・糖尿病や低血糖など血糖値の異常

・高脂血症

・甲状腺、副腎、上皮小体から出るホルモンの病気

などがみつかることがあります。

 

がんについてはどうでしょう?

がんは、血液検査に異常が出るがんと、血液検査に異常が出ないがんがあります。どちらかというと、血液検査で異常が出ないケースのほうが多いのです。

初期はまったくの無症状であることも多く、血液検査で問題がなくても、健康診断の画像検査(レントゲン検査・超音波検査)でがんがみつかることも少なくありません。がんは命に関わる重大な病気ですが、早期に発見できれば治療により完治させることが可能な病気でもあります。中年齢~高齢の子では、血液検査と一緒に、定期的な画像の検査もしてあげると、より安心です。

 

●「尿検査」、「便検査」について

尿検査では、腎臓病や膀胱炎、尿路結石などの病気をみつけたり、尿糖をしらべることで糖尿病の有無を確認したり、おしっこの濃さ・薄さをしらべることで腎臓の病気やホルモンの病気がないかを確認します。

便検査では、消化管内の寄生虫の有無や、食べ物の消化状態を調べます。

 

●健康診断の「画像検査」でみつかる病気は?

血液検査の項目で触れたがんに加え、心臓や肺、気管、骨の異常、尿路結石などは血液検査に異常が出ないことが多い病気です。

胸部レントゲン検査では、肺や心臓、血管などに異常がないかを検査します。腹部レントゲン検査では、臓器の大きさや位置、結石の有無などを検査します。超音波検査では、内臓が実際にどのような状態か、お腹の中をのぞくようにみることができます。レントゲン検査も超音波検査も痛みはなく、麻酔も不要なため、体に負担が少ないやさしい検査です。

通常のわんにゃんドックでは超音波検査はお腹のみですが、心臓に雑音があるなど身体検査で気になる子、胸部レントゲン検査で異常がみられた子は、飼い主さまと相談した上で、心臓の超音波検査をおこない、心臓のどこにどのような異常があるのかをお調べします。

また、血液検査のみの健康診断をご希望された患者さんも、結果に異常が出た場合には、実際に体の中で何が起こっているのかを画像検査(場合によっては尿検査)により調べて診断し、治療を検討します。

健康診断の結果病気がみつかった場合には、どのような病気で、治療が必要なのか、様子をみていいのか、何に注意して生活していけばよいかなどをおはなしさせていただきます。

家族の一員であるわんちゃんやねこちゃんが、日々を気持ちよく元気に過ごしてほしい、というのは、ご家族の願いでもあり、私たちの願いでもあります。

 

何かご不明な点などございましたら、お気軽にご相談ください。

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