彦根犬猫病院 Hikone Animal Hospital

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2021年3月8日

がん学会参加報告&お口の中にできるがんについて

こんにちは。
獣医師の秋山牧子です。

 

先日、オンラインで開催された、「日本獣医がん学会」に参加しました。

がん学会は年に2回、夏に東京、冬に大阪で開催されるのですが、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、前回に引き続きインターネット上での開催となりました。

 

今回のテーマは「猫の口腔内扁平上皮癌」でした。

 

扁平上皮癌は、猫ちゃんの口の中にできるがんの中で、最も多いがんです。

がんというと、しこりをイメージしますが、口の中にできる扁平上皮癌は、潰瘍といって粘膜の一部が傷ついているような見た目であったり、ひどい口内炎のような見た目であったりします。下顎が硬く腫れて、発見されることもあります。

口腔内扁平上皮癌は、放射線療法、化学療法(抗がん剤)には「抵抗性」といい治療の反応が悪いため、第一選択は外科手術です。
ただし、場所や広がり具合によっては手術不適応となるため、術前にレントゲン検査やCT検査を行い、手術適応か見極める必要があります。

 

手術を選択しない場合、あるいは、手術ができない場合も、その子のためにできることはあります。

 

がんは痛みを伴うため、その痛みをやわらげてあげること。
飲み薬の痛み止め以外にも、痛み止めのパッチがあります。
口のがんは、時に、飲み薬さえもしみる時があります。
その場合にも、皮膚に貼るパッチは非常に有用です。

 

また、元気も食欲もあるのに口が痛くて食べられない。そんな時に、チューブから食事を与える方法もあります。
マイナスのイメージを持たれる方もおられるかもしれませんが、チューブでごはんをもらったあと、満腹になること、気分が良くなることを覚えると、
食事の時間になると
「ごはんを入れて」
と猫ちゃん自ら、催促するようになったりもします。

 

また、近年「分子標的薬」という、がん細胞の特定の部位を標的にする薬も出ており、そのお薬をのむことで症状を緩和できる可能性があります。
従来の抗がん剤は、分裂する細胞全てを攻撃します。
がん細胞は自分が増えるために活発に分裂していますが、
消化管の粘膜や骨髄の細胞も活発に分裂しているので、一緒にダメージをうけます。
それにより、抗がん剤の投与後に、副作用として吐いたり、血液の異常があらわれたりします。
分子標的薬は、がん細胞の特定の部位を標的とするので、正常な細胞へのダメージが軽減されます。

 

猫ちゃんでは口の中にできる最も多いがんは「扁平上皮癌」ですが、
わんちゃんでは、「悪性黒色腫(メラノーマ)」が最も多く発生します。
口腔内悪性黒色腫は、その名前の通り黒や褐色のしこりとしてみつかることが多いですが、
乏色素性といい、黒ではないピンク色などのケースが3分の1ほどあります。
口の悪性黒色腫は転移率が高く進行が速いのが特徴ですが、中には高分化型といいゆっくりと進行するタイプも存在します。

 

お口の中の異常は、おうちでみつけることができます。

 

普段からお口の中を嫌がらずにみせてくれると理想ですが、
歯石や歯肉炎が重度だと口を触られるのも痛いようで、嫌がる子もいると思います。
どうしても見られることを嫌がるようなら、
寝ている隙にそっとみたり、
わんちゃんならパンティングをしているとき(口をあけながらハッハッと呼吸しているとき)や、
ねこちゃんなら大きなお口であくびをしている時など、
口の中を上下左右、奥も、できれば舌の裏も、定期的にくまなくみてみてください。

 

口内炎や歯肉炎でも、歯茎がはれたり、色が変わったりします。
腫瘍の場合は腫瘍に対する治療、炎症の場合は炎症に対する治療が必要です。

 

腫瘍と炎症との違いは、
「左右対称か非対称か」
がポイントになります。
左右に同じように赤みがある場合は、炎症の可能性が高く、
左右どちらか、部分的に異常がみられる場合は、腫瘍の可能性が高くなります。

 

見た目で口の中の病気がみつかることもあれば、症状から病気がみつかることもあります。

 

・食欲の低下
・活動性の低下
・体重の減少
・よだれの増加
・口臭の悪化
・食べづらそうにする
・毛づくろいの減少(猫ちゃんの場合)

 

などの症状は、病気を疑うサインです。

 

早期発見が何より大切ですので、
「最近ごはんが食べづらそうだけど大丈夫かな?」
「この歯茎の状態は正常?異常?」
など、ご不安に思われたら、遠慮なくご相談ください。

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