避妊手術・去勢手術について
ご相談いただく機会が多い、避妊手術・去勢手術について、ご説明します。
避妊手術は女の子の卵巣を、去勢手術は男の子の精巣を摘出する手術です。
・手術の時期
生後7か月以降で、特に女の子は早めの手術をおすすめしています。
・避妊手術の目的とメリット
目的・・・避妊、卵巣・子宮疾患(卵巣嚢腫や子宮蓄膿症など)の予防、一部の腫瘍の予防(早期の避妊手術により、乳腺腫瘍の発生率が抑えられることがわかっています。)
わんちゃんの場合は発情前出血がなくなります。
ねこちゃんの場合は夜鳴きなど発情期の行動がなくなります。また、マーキング行動が改善されると言われています。
・去勢手術の目的とメリット
目的・・・避妊、精巣や性ホルモンに関連した腫瘍など病気の予防。攻撃性などの問題行動の軽減。
潜在精巣(正常な位置に精巣がない状態)の子の精巣は将来癌化しやすいため、早期の去勢手術をおすすめします。
わんちゃんの場合は前立腺疾患、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアの予防もできます。また、早期の手術でマーキングの予防ができます。
ねこちゃんの場合はスプレー行動、放浪行動といった問題行動が軽減できることがあります。
・避妊手術、去勢手術のデメリット
術中・術後合併症:出血、感染、断端膿腫・縫合糸反応性肉芽腫・卵巣遺残(女の子)
尿失禁(手術後ごく稀にわんちゃんで、尿失禁がおこることが報告されています。)
肥満になりやすくなる(術後、カロリー必要量が減るため、同じ量を食べていると肥満になりやすくなります。)
・手術前の検査
麻酔をかけるにあたり、体に異常がないか調べるために、手術前に身体検査・血液検査を受けていただきます。
血液検査に関して、血球検査(貧血や血球異常がないか調べる検査)と血液化学検査(腎臓や肝臓の数値、血糖値などを調べる検査)を受けて頂きます。血液化学検査は項目により料金が変わりますので、検査時にご選択いただきます。
(頻度は低いですが、血液検査だけでは異常が出ない病気もあります。手術前の検査として、血液検査に加え、X線検査・超音波検査などを行うかは、ご相談の上、ご検討ください。)
・手術前~手術後の流れ
①診察時間内にお電話をいただき、手術日のご予約をおとりください。
手術は水曜・日曜以外の曜日でおこなっています。
直接ご来院されてご予約をおとりいただくことも可能です。
②手術前の検査にご来院ください(手術日の1週間前から前日までの間にご来院ください。
血液検査以外の検査もご希望される場合は、検査日のご予約をあらかじめお電話でおとりください。
「春の健康診断(3~6月)」「秋の健康診断(9~11月)」をご利用される方は、血液を検査センターに送付しますので、手術日の10日前~1週間前の間にご来院ください。)
検査にご来院された際に、手術に関する詳細なご説明をさせて頂きます。
③手術日・・・あらかじめご予約をおとりいただいた予約時間(午前中)にご来院ください。
④退院・・・手術日の夜もしくは翌日にお迎えにいらしてください。
⑤体調などが問題なければ、手術から5~7日後に消毒にご来院ください。
⑥手術から10~14日後に抜糸にご来院ください。
避妊手術・去勢手術は全身麻酔下でおこなうため、麻酔のリスクがあります。
100%安全な麻酔は存在しませんが、当院ではより安全な麻酔方法を選択し、麻酔中は各種モニターで状態を注意深く観察しながら、麻酔管理を行っています。
麻酔に関しては、次の記事で詳しくお話をしたいと思います。




