彦根犬猫病院 Hikone Animal Hospital

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2025年4月23日

フェレットのインスリノーマについて

こんにちは。獣医師の佐々木です。

 

最近、尾の腫瘍があるということで来られたフェレットさんの血液検査をすると、血糖値が少し低めということがありました。

まだ、再度の検査が必要ではありますが、中高齢のフェレットさんで多いインスリノーマの疑いがあったため、尾の腫瘍の方はいったん見送りとなりました。
 

インスリノーマとは

ワンちゃんでもまれにみられるインスリノーマ(膵臓の腫瘍)ですが、フェレットさんでは三大腫瘍の一つに数えられるほど多い腫瘍です。(他2つは副腎疾患とリンパ腫です。)

 

膵臓のインスリンを分泌する細胞(β細胞)が腫瘍化することで、異常にインスリンが分泌されて血糖値が下がってしまう病気です。

(※インスリン:血糖値を下げる唯一のホルモン)

反対にインスリンを注射して血糖値を下げる治療をする糖尿病はフェレットさんではほとんどみられません。

 

インスリノーマの症状

最初は症状もわかりにくく、健康診断やほかの病気の診断の中でみつかることも多いです。(フェレットさんでは副腎疾患との併発も多いです。)

一例として以下のような症状がみられますが、もともと寝ている時間も長いため、わかりづらいです。

軽度の場合

・寝ている時間が多くなった

・後肢がふらつく

・ぼーっとしていることが増えた

 

中~重度の場合

・よだれ

・けいれん発作

・口をくちゃくちゃする

 

診断

症状と血液検査での低血糖(特に60mg/dL未満)から仮診断します。

血中インスリン濃度測定やフルクトサミンの測定はあまり有用性がないとされています。

超音波検査では腫瘤が小さく見つからないことも多いですが、併発疾患が見つかることも多く、実施されます。

 

治療

低血糖によるけいれん発作や元気消失などを防ぐために、食事管理・内科治療・外科治療が行われます。

食事管理では血糖値の大幅な変動を抑えるために高たんぱく、低炭水化物の食事が勧められています。

果物や糖分の高いおやつは避けるようにしてください。

低血糖時の救急対応としては糖分摂取は必要です。

 

内科治療としては血糖値を維持するのにプレドニゾロンジアゾキシドといった薬が選択されます。

外科治療では膵臓腫瘍をできる限りとるのですが、取りきることは基本的に難しく、腫瘍の数を減らすという目的になります。(当院ではフェレットさんのインスリノーマに対する手術は実施しておりません。)

 

さいごに

インスリノーマは根治を目指すというよりは治療を行って症状をコントロールするものになります。

ただし、徐々に進行し、最終的には症状のコントロールが難しくなる可能性もあります。

少しでも症状を緩和して、生活の質を維持してあげるのが大切になります。

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