こんにちは。獣医師の佐々木です。
今回は慢性腎臓病の合併症の一つである貧血についてざっくり触れたいと思います。

変な態勢で寝るサツキさん
慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血とは?
慢性腎臓病(CKD)に伴って赤血球の生産が低下したり壊れやすくなって貧血が起こってくることがあります。
CKDが進行することで腎臓からエリスロポエチン(赤血球産生を促すホルモン)の産生が減ることが主要な原因です。
他に鉄欠乏が起こったり、尿毒症毒素によって赤血球の寿命が短くなってしまうこともCKDによる貧血の要因です。
どういう症状がみられるのか?
軽度の貧血ではあまり症状はみられませんが、進行してくると以下のような症状がみられることがあります。
・QOL(生活の質)の低下:元気食欲の低下や脱力感
・心臓への負担の増加:酸素運搬能力の低下を補うため
・CKD進行の悪化:低酸素による腎臓の繊維化や炎症の悪化
どれくらいの頻度でみられるのか?
猫のCKDではIRISステージ分類のステージが進行(≒CKDの悪化)とともに貧血の頻度は増加します。
ある研究では以下のような発生頻度だったそうです。(PCV<30%)
・ステージ2:5%
・ステージ3:18%
・ステージ4:53%
治療は?
消化管からの出血や感染症がある場合はそちらの治療が優先されますが、CKDに伴う貧血の治療としては主に鉄剤の投与と赤血球造血刺激因子製剤(Erythropoiesis Stimulating Agent:ESA)の投与が行われます。(現在ではCKDに伴う尿毒症性の胃潰瘍や胃炎というのはほとんどないと言われています。)
ESA製剤の投与というのは産生が減っているエリスロポエチンを外から足してあげるようなイメージです。
赤血球の造血時やCKDによる機能性鉄欠乏により足らなくなっている鉄分も外から足してあげます。

どんな治療でもそうですが、これらの治療にも副作用が報告されています。
ESA製剤(エポベット、ダルベポエチン等)の投与では高血圧がみられることがあります。また、鉄製剤の投与ではアレルギー反応がでることがありますが、経口投与では食欲の低下が出ることも多いため、注射での投与が勧められています。
また、日本国内ではまだ未承認ですが、アメリカでは猫のCKDに伴う貧血に対してモリデュスタット(Molidustat)というお薬も出ています。

貧血は甘くみられがちですが、元気・食欲の低下につながったり、慢性腎臓病の進行や心疾患のきっかけになりうるので注意が必要です。
参考
Ettinger’s Textbook of Veterinary Internal Medicine (9th Ed.)

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