彦根犬猫病院 Hikone Animal Hospital

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2025年6月25日

猫の急性腎障害にご注意

獣医系の大学で獣医学の講義としてはじめは解剖学や生理学といった基礎的な科目から始まります。(少なくとも帯広畜産大学はそうでした。)

 

解剖学では骨や臓器などの名称や位置関係を勉強していきますが、カラダの構造も動物ごとに差がいろいろあります。

骨の穴があったりなかったり、胃の数や歯の本数が違ったり、そもそも胆嚢があったりなかったりをひたすら暗記していました。

それなりに厳しい方針だったので学生の半分くらいは追試を受けていましたし、他の試験も同じような感じで最終的に1/4の学生は留年してしまってましたが今では良い思い出です。

 

解剖でいうと尿をつくっている腎臓は左右一対で存在していますが、結構種差が大きい臓器です。

イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ウサギなどで右が頭側、左がお尻側にあり、ブタやヒトでは逆になっています。(ヒトは習いませんが)

見た目や構造も結構違っていて、ブドウの房みたいな腎臓だったり、ツルッとしたそら豆のような腎臓だったりします。

また、人間では大丈夫でもイヌでは腎臓へのダメージ(障害)がでたり、イヌでは大丈夫でもネコでは腎臓にダメージがでたりと、食中毒の出方にも動物種差があります。

中毒物質を摂取や感染などで起こる急激な腎臓の障害をひっくるめて急性腎障害といいます。

 

急性腎障害は原因がどこにあるのかで大きく分けて3つあります。

腎臓に以前の部分(脱水など)による腎前性急性腎障害、腎臓自体で問題の出る腎性急性腎障害、腎臓から尿が出ていった部分(尿管・尿道の閉塞など)による腎後性急性腎障害の3つに分かれます。

 

この3つのどれが多いかもイヌとネコでは異なります。

ネコだと腎前性5%、腎性30%、腎後性35%、原因不明30%というのが報告されています。

その中でも原因が多様なのは腎性の腎障害です。

 

腎性腎障害の6割が薬物・中毒、3割が感染、1割が腫瘍ですが、この6割を占める薬物・中毒による腎障害の救命率は1~2割で非常に低いです。

ネコのユリ中毒は非常に有名ですが、自動車の不凍液に使われるエチレングリコールの中毒やヒトのビタミンD含有サプリによるビタミンD中毒もあります。

スルメイカ中毒でも急性腎障害と見間違えるような一時的な腎数値の上昇がみられます。

 

急激な体調不良、尿量の減少がみられた際にはすぐにご来院ください。

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