エコー検査~腎臓・尿管編~
こんにちは。獣医師の秋山牧子です。
エコー検査(超音波検査)シリーズ、今回は腎臓と尿管についてご説明します。
~今までのエコー検査のお話はこちら~




腎臓は腰のあたりに左右1個ずつある、おしっこを作る臓器です。
大きさ、しこりや結石の有無、構造の異常などについて調べます。
腎臓は超音波検査でこのようにうつります。

犬さんは豆形、猫さんは卵円形です(ちなみに、馬の右側の腎臓はハート形♥️です←国家試験勉強で各動物の腎臓の形をおぼえる😳)。
腎結石では中に白いものがみえます。

尿管閉塞(結石やできものなどによって腎臓から膀胱への管がつまって、腎臓から尿が出せない状態)がおこると、腎臓の真ん中に尿がたまり、黒くふくらんでみえます。

尿管は普段エコーで確認しづらいですが、尿管の途中でつまりが生じると、渋滞がおこり尿管が太くなり、エコーで異常が見つかります。
尿道(膀胱から体外へ尿を送る管)が閉塞すると尿が出ないのですぐ気がつくのですが、
尿管結石ではもう片側の腎臓~尿管から膀胱へ正常に尿が送られるので、表向きは問題なく排尿できていて、なかなか気づかれないことがあります。

猫ちゃんで多い多発性のうほう腎では黒い丸がみえます。

多発性のうほう腎は、昔は治療法がないとされていましたが、最近になり進行をおさえる治療法が報告されました(以前佐々木先生がブログに投稿してくれました→猫の遺伝性多発性嚢胞腎(PKD)の治療アップデート)。
こちらも猫ちゃんで多い、腎臓のリンパ腫(がん)では、腎臓が大きくなったり、腎臓を包む膜の内側に黒い部分がみえることがあります。

血液検査でBUN(尿素窒素)とCRE(クレアチニン)が高い=腎不全とは限りません。
高齢な子では慢性腎臓病であることが多いですが、エコー検査で結石や腫瘍がみつかることもあります。
(慢性腎臓病だと、エコー検査では腎臓が少し小さくなっていたり、構造がぼんやりしてきます。)
それぞれの病気によって治療方法が違うので、血液検査で「腎臓が悪い」ということがわかったところで止まらず、「なぜ悪いのか」を画像検査で調べた方が良いです。
また、腎臓はある程度ダメージをうけないと血液検査に反映されないので、血液検査が正常でも画像検査で病気がみつかることがあります。そのため、わんにゃんドック(健康診断)では血液検査と画像検査(&尿検査・便検査)をおこないます。
動物さんともっと色々なお話ができたらいいのになと常日頃思います。
喜怒哀楽は表情やしぐさで感じ取ることができますが、具体的にどこかどうつらいというのは、なかなかわかりません。
検査をすることで
「ここが痛かったんだね…」
とわかる時があります。
一番大切なことは
見ること・聞くこと・触ること(視診・聴診・触診)ですが、
それだけでは原因を特定するのに限界もあり…
そのような時、検査は通訳者となってくれることがあります。

