うさぎの皮ふ病🐰
獣医師の佐々木です。
うさぎが飛び出して骨折するのが怖いので床で診察しています。(診察台の上でみたり、いろんな流派があるそうです。)
それでも暴れる子は暴れて骨折したり、爪が折れたりするので注意は必要です。
顔を出すと飛び出そうとする子もいるのでその場合は目を覆いますが、おとなしい子は顔だけ出して口腔内や耳、眼をチェックします。
顔だけぴょこんと出ている様子はかわいいです。

うさぎの皮ふ病
うさぎの皮ふの病気には犬や猫と同じようにさまざまありますが、その発生傾向にはかなり偏りがあります。
原因ごとに分けた場合はそこまで比率に偏りはありませんが、それぞれの内訳には大きな偏りがあります。

ウサギの皮膚疾患の発生状況に関する検討.獣医臨床皮膚科 10 (3): 113–118, 2004.鶴岡学より引用
細菌性
細菌性皮膚疾患では湿性皮膚炎の発生が多いです。
湿性皮膚炎は涙やけやヨダレ、尿やけなどで皮膚や毛が濡れたままになることで発生します。
高齢になって水の飲み方が下手になったりして、口~顎にかけて濡れていることで起こることもあります。
また、うさぎは頻繁に前肢で顔を洗うようなしぐさをするため、そちらにも湿性皮膚炎が出てくることもあります。
原因となる疾患(奥歯の過長や眼疾患など)の治療を行うとともに抗生剤の使用や毛刈り・洗浄・消毒を行います。

細菌性
物理的要因
物理的な要因による皮膚の病気としてはソアホック(足底皮膚炎、飛節びらん)が圧倒的に多いです。
うさぎの足裏はイヌやネコとは異なり、肉球がとても小さく、足裏全体をかたい毛が覆っています。
本来、野生の環境では地面はデコボコで歩くときには足裏のさまざまな場所に体重がかかりますが、室内環境では足裏のだいたい同じ場所が床につき続けてしまいます。
また、肥満や運動不足、加齢、汚い環境なども合わさって足裏に皮膚炎が生じてきます。
この病気では環境改善などによる予防が非常に重要で感染や骨にまで及ぶような状況になると完治は難しくなってきます。
痛みがひどい場合は断脚になることもあります。

物理的
具体的な環境改善
・ケージ外での運動を行う
・肥満を改善する
・ケージ内の床材をクッション性のあるものに変更する
・牧草などを十分な厚に敷く
・部分的に異なる床材を使用する
・衛生管理を徹底する

市販のソアホック予防マットの利用も良い

マットをかじってしまううさぎさんもいるため個々に合わせた対応が必要になります。
細菌感染なども伴っている場合は必要に応じて病変部の消毒、軟膏塗布、バンテージ、抗生剤・鎮痛剤の投与を行います。
発毛する場合もありますが発毛せず、一生の管理が必要になる場合もあります。
真菌性
うさぎの真菌で問題になるのは主にTrichophyton mentagrophytesで若い個体やなんらかの原因で免疫力が低下すると発症しやすいです。
治療期間は比較的長期間に及びます(1か月以上)。また、再発率も高く、ヒトにも感染する人獣共通感染症なので注意が必要です。
毛刈りと抗真菌の内服薬を使います。
うさぎの毛は密で濡れるとなかなか乾かず、湿性皮膚炎になる可能性があるのでシャンプー療法を用いることはほとんどありません。
(ひどい汚れになっている場合は一度洗い流したりすることはあります。)
寄生性
寄生性の皮膚疾患ではツメダニが圧倒的に多いです。
肩甲骨の間から首の背中側に出ることが多いですが、腰の方まで広がることもあります。
かゆみとフケ、皮膚の赤み、脱毛などがみられます。
テープ検査や毛検査、掻把検査により顕微鏡で虫体や虫卵を確認します。
寄生数が少ないと数回の検査では見つからない場合もあり試験的駆虫(ためしに寄生虫駆除薬を使用)をするときもあります。
また、免疫力が低下するような他の病気が隠れていることもあります。

犬猫と同様にイベルメクチンの注射やセラメクチンのスポット剤を使用します。(適応外使用)

犬猫ではよく使われているが、うさぎでは副作用の報告が多数あるノミダニ駆除製剤もあるので自己判断では使用しないでください。
環境の変化や牧草が新しいものになったタイミングで皮膚疾患が出ることも多いのでそういったきっかけがなかったかもご確認ください。
