彦根犬猫病院 Hikone Animal Hospital

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2025年10月27日

うさぎの不正咬合と奥歯カット(臼歯カット)

うさぎの奥歯(臼歯)は上が6本、下が5本で生涯伸び続けています(常生歯といいます)。

そのため、牧草をすりつぶして食べることで歯全体を削り続けないと、伸びてきた歯は舌や頬に当たってしまいます。

舌や頬に伸びてとがった歯が当たると痛みが出たり、切れてしまい、食欲不振の原因となってしまいます。

うさぎの歯の解剖(参考資料①より)

チモシーなどの食物繊維が豊富な食事を食べるときは横方向にすりつぶすようにして食べるため、均等に歯がすり減りますが、ペレットやおやつ、野菜・果物の量が多くなり、食べる牧草の量が減ると歯のすり減りが足らなくなります。

1歳以上のウサギの場合、ペレットの量は体重の1.5%までにとどめることが望ましいです。

うさぎの口の断面を正面からみると上下の歯はぴったりとは合っていません。

横にすりつぶすように顎を動かしていると全体がすり減りますが、縦方向にしか顎が動かないとすり減らない部分が出てきます。

 

ペレットを食べるときは縦方向に噛みます。そのため、牧草を食べるときにはすり減らされていた場所が使われません。

すると上顎の外側(頬側)と下顎の内側(舌側)に向かって歯が伸びてしまいます(青い部分)。

こうして歯が当たることで食事を食べない、好みのものしか食べない、ヨダレが出てくるなどの症状がみられるようになります。

 

左下顎臼歯過長

右下顎臼歯過長

臼歯の切断と研磨(臼歯カット)

伸びて舌や頬に当たってしまっているときに実施する処置が臼歯の切断と研磨です。

マイクロエンジンで切断したり、ラウンドバーに付け替えて長くなった部分を研磨し削ったり、場合によっては臼歯カッターで切断します。

臼歯カットの処置はウサギだけでなく、デグーやチンチラ、モルモットでも可能です。

臼歯カッター、開口器、開頬器

食欲不振の期間が短いと臼歯カット後にそのまま食べ始めてくれる場合もありますが、消化管の運動機能低下症(消化管うっ滞と言ったりもします)が起こっていて、臼歯の処置をした後もしばらく強制給餌や点滴、投薬が必要になる場合も多々あります。

爪切りの際に症状が無くても口腔内の確認はしていますが、症状が出てからの来院になることがほとんどです。

早めに処置をすることで消化管運動機能低下症の重症化を防げる確率が高まりますので以下のポイントを参考に早めにご来院ください。

もしかしたら不正咬合?症状のポイント

今回は臼歯が口腔内で伸びている話を書きましたが、歯の根元が伸びて顎の骨がとけたり、涙が通っている鼻涙管や鼻腔の周囲に炎症が起きることで涙や目ヤニ、くしゃみ、鼻水といった症状も不正咬合ででてくることがあります。

 

 

参考資料

  1. Textbook of Rabbit Medicine, 3rd Ed.
  2. ウサギの医学
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